9.故事等

(1)おこない  
     
おこないは、「行」・「お行慣」等とも書かれています。男女を問わず長子について行われ、氏
   子になるための通過儀礼で、原則として年2回一度に2人の幼児が対象となります。当日、

   社では鏡餅を幼児の守護菩薩である神社内の地蔵堂の地蔵菩薩をはじめ神々にも供え、乙
   名衆、幼児の保護者にも撞きたての餅が振る舞われ、幼児の家は直会のための重箱料
理を
   乙名衆に振る舞われています。少子化のため、永らく年1回、1月24日のみとなっています。
     地蔵講の日に行われてきたことからも、仏教と深い関係にあった行事ではないかと考えられ
   ます。
     その昔は、当日、重箱に大根と豆腐をサイコロ切りにしたものを入れ、神社にお参りしました。
   この大根と豆腐のサイコロ切りは当日お参りした乙名衆の方々に振る舞われていましたが、近
   年は重箱料理に変わってきています。
(2)村人入り    
   区内の成人男子2名が毎2月24日に、乙名全員が揃った席上で、「高砂」など目出度い謡
  曲が謡われる中、上宮守の酌で乙名長老と杯を交わし、将来乙名入りの資格を与えられる
   式です。春日神社の紋章の入った扇子が授与されています。
(3)乙名入り
  
村人入りの祭事を済ませた男性において、毎年半年ごと(3月と9月の1日)に1名の方が「
   乙名入り」をされています。
    当神社の場合は、一度乙名入りをすると、一生涯に亘り神社の祭典・式典日にお参り出来る
   こととなっています。この方式は伴谷の他の字にはなく、他の字では定年制を採用されていま
   すが、春日の場合は健康であれば何歳になってもお参り出来ることとなっています。
     乙名入りに当たっては、平成の15年頃までは、式典当日に乙名の方々にうどんを振る舞う
  
慣習となっていました。この為に、儀式当日はおいしいうどん汁を作り、また給仕や接待のた
   め親戚の方々までにもお手伝いを依頼していましたが、改革され仕出し屋さんの弁当に変わ
    っています。
     また、昭和の終わり頃までは、初老の祝いと同様に、乙名入りが出来るまで目出度く健康で生きて
    いられたとのことで料理屋や仕出し屋からたいそうな御馳走で親戚の方々を振る舞い、お祝いをさ
     れていました。
 
(4)神縄吊り(勧請吊り)(かんじょうつり)

     神社の下段広場から中段広場への参道の両脇の
    杉の樹に神縄(勧請縄)と呼んでいる大綱を掛け替
    えて、五穀豊穣・村中安全を祈る1月6日の行事で
    す。
      乙名全員が藁1束ずつを持ち寄り、まず乙名の若
    手が長さ7尋半の大縄を綯いあげます
    大縄の中央には大きな藁笣が付けてあります

    綯い手一同が「ひと尋、ふた尋・・・・・なな尋はーん」
    と大声で唱和ながら長さを計ります。

 
        両脇の杉の樹に掛け替えられた勧請縄

     また乙名年長者が中心になり、12本の御幣の竹串のそれぞれに12種の広葉樹の小枝を
    吊るした飾りを作ります。
      大縄、御幣の飾りを吊るす現場へ運び、大縄に御幣を突き刺し、さらに予め用意されてい
    た、表に陰陽五行説に基づく星印、裏に願い事を書いた勧請板を縄の中央に吊り下げ、出
    来上がった神縄(勧請縄)を参道の上に掛け渡し、諸願成就を祈る神事です。
 (5)境界まわり
   
青年団(春日は昭和40年位から「若人クラブ」と称していた)の行事として
昭和40年(1965)
    代までは続いていたものに、境界回りがあります。
      これは、春日と他地区との境界を歩いて回り、境界を歩いて通れるように雑木等を伐採した
    り、境界杭の朽ちたものや杭のないところは新たに立てたりして、境界の確認をしながら、地
    域を知ること、及び参加者の親睦を図ることを目的として実施していました。
 (6)枝切り
   
青年団活動の一事業として、道路等に伸びた木の枝を切って回ったものです。伸びた木の
    枝は、通行の邪魔となり、家や畑・たんぼの影となり作物の生育にも支障があり、じゃまにも
    かかわらず、なかなか「枝を切ってください」と言いにくいものです。
     青年団では、このような枝の伐採をして回りました。青年団が切ったものは、誰からもとがめ
    られなかったことから、責任をもって切ったものでした。
  (7)神社の維持管理
  
@氏子総代、宮守と6人衆
    
春日神社の運営は、毎年3月の年度末の氏子総会(区の年度末総会に併せ開催)で選出
    された氏子総代(任期3年で、毎年1名選出)と乙名入りされた方から6人の「6人衆」(宮守2
    名を含む)を中心として準備を行い、宮司の斎行で祭典が行われています。しかし、月次祭の
    祭典は上の宮守が宮司の代務を、地蔵講の法要は渓蓮寺の住職が導師となり行われてい
   ま
す。

      宮守は2名(上の宮守・下の宮守の各1名)で、6ヵ月交代(通して1年間)で務めていただい
    ています。
     
6人衆の方々は、祭典前日より(場合によっては前々日から)諸準備をされ、祭典の当日は
   
早朝から務めていただいています。このお陰で、祭典にお参りすると駐車場から境内・社殿・
   
社務所・トイレまで大変きれいに掃除をしていただいています。
     
なお、平成15年(2003)までは、神社の清掃を含む維持管理は宮守2名の方と家族の方
   
々で行っていましたが、諸事情から6人衆により維持管理をすることに変更されています。
      また、神社の清掃等については、老人クラブ(満64歳以上の方々が会員で平成19年度は
    会員134名、平成20年度136名)により年間3回、お寺等と共に清掃奉仕作業を行ってい
    ただいています。
    A氏子青年
      
神社関係行事の手伝いとして、旧来から「氏子青年」と称して男子6名が任命されています。
    近年は、毎年2名ずつ交代で3年間の務めです。
    主な任務は、
      ア、国民の祝日に草の根広場にある国旗掲揚台に国旗を掲げる(輪番制)
      イ、春祭りの前日・当日の手伝いをする
      ウ、年末の神社境内等の清掃の手伝いをする
      エ、神社三例大祭日に代表者がお参りする
      オ、神饌田の維持管理
      カ、神饌田で収穫した稲穂を新嘗祭当日にお供えする
      キ、その他、神社事業への参加と協力等です。

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